2026年11月2日、Yahoo!ニュースにおいて、肺NTM症に関する特集記事が紹介されました。
http://teco-infection.jp/ntm-awareness/に、特設ページを掲載しています。ぜひこちらの記事もご覧ください。
近年、日本国内でも患者数の増加が報告されており、生活環境と感染との関係について関心が高まっています。
なかでも注目されているのが、毎日の生活で使用する浴室やシャワーなどの水回りです。
NTMは自然環境中に広く存在する菌ですが、浴室の配管やシャワーヘッドなどから検出されることもあり、菌を含む微細な水滴を吸い込むことが感染経路の一つとして研究されています。
株式会社タムラテコでは、こうした生活環境中のNTMに着目し、オゾン技術を利用した浴室の衛生管理について研究・開発に取り組んできました。
その取り組みの一つが、家庭用オゾン機器「バスピースO3」です。
浴室などの生活環境に存在する微生物への対策を目的として開発された製品であり、その技術的背景には、オゾンの殺菌作用に関する研究があります。
本コラムでは、肺NTM症と浴室環境の関係、慶應義塾大学による非結核性抗酸菌へのオゾンの作用に関する研究成果、そしてバスピースO3の開発目的について、科学的な知見に基づいてご紹介します。
非結核性抗酸菌(NTM)は、結核菌とは異なる抗酸菌の総称です。
日本呼吸器学会によると、肺NTM症は主に浴室や土を扱う作業などで空気中に浮遊する菌を吸い込むことによって感染すると考えられています。
また、厚生労働省は、浴室のシャワーヘッドや水道の蛇口などにもNTMが生息しており、菌を含む微細な水滴(エアロゾル)の吸入が感染経路の一つになると説明しています。
ただし、NTMは自然環境中に広く存在しており、菌を吸い込んだからといって必ず発症するわけではありません。
発症には、個人の体質、免疫状態、肺の基礎疾患など、さまざまな要因が関係すると考えられています。
肺NTM症は、一般的に人から人へ感染する病気ではなく、生活環境中の菌への曝露が重要な研究対象となっている感染症です。
浴室は、水分や湿気が多く、配管やシャワーヘッドなどに微生物が付着・定着する可能性のある環境です。
NTMの一部は、水回りの表面に形成されるバイオフィルム(微生物が集まって形成する膜状の構造)の中で生存することが知られています。
海外の研究でも、シャワーヘッドやシャワーから発生するエアロゾルが、NTMへの環境曝露に関係する可能性が指摘されています。
そのため、浴室の清掃や換気、シャワーヘッドの適切な管理などが、日常生活における環境衛生対策として考えられています。
もっとも、これらの対策によって肺NTM症の発症をどの程度減らせるかについては、十分な臨床的証拠が得られていません。
大切なのは、特定の場所や設備を過度に恐れることではなく、身近な生活環境について正しい知識を持つことです。
2023年、第71回日本化学療法学会学術集会において、慶應義塾大学の研究者らによる「非結核性抗酸菌に対するオゾンガスの殺菌効果」が発表されました。
研究者は、三澤可奈氏、西村知泰氏、長谷川直樹氏の3名です。
この研究では、肺NTM症の原因菌として知られる菌種を含む、以下の5種類の非結核性抗酸菌を対象に実験が行われました。
それぞれの菌をステンレス鋼板上に付着・乾燥させ、密閉チャンバー内でオゾンガスに曝露しました。
実験条件は次のとおりです。
オゾンガス濃度:1.0ppm
曝露時間:0分・60分・120分・180分
曝露後に菌を回収し、生存している菌の数を測定して、オゾンガスに曝露していない対照群と比較しました。
研究では、対象とした5菌種すべてにおいて、オゾンガス曝露群の生菌数が対照群と比較して統計学的に有意に減少したと報告されています。
これは、一定の実験条件下において、オゾンガスがNTMに対して殺菌作用を示すことを確認した研究成果です。
一方、実験で使用された1.0ppmという濃度は、一般的な有人環境での使用を想定したものではありません。
また、この研究は実験室内でのオゾンガスの作用を評価したものであり、家庭用機器による浴室全体の除菌性能や、肺NTM症の発症予防効果を検証したものではありません。
研究によって確認された殺菌作用と、実際の生活環境における製品の効果は、区別して考える必要があります。
日本化学療法学会公式サイト/学会抄録集の印刷ページ506
正式な文献情報は次のとおりです。
演題名: 非結核性抗酸菌に対するオゾンガスの殺菌効果
著者: 三澤可奈、西村知泰、長谷川直樹
所属: 慶應義塾大学医学部感染症学ほか
掲載誌: 日本化学療法学会雑誌 2023年、71巻4号、506ページ
演題番号: 310(O-310)
株式会社タムラテコは、こうしたオゾンの殺菌作用に関する研究知見を背景に、家庭の浴室で手軽に使用できるオゾン機器「バスピースO3」を開発しました。
開発において着目したのは、日常的に使用する浴室の衛生管理です。
浴室は、使用後も湿気が残りやすく、カビや細菌などの微生物が問題となりやすい場所です。
バスピースO3は、オゾンを利用した浴室環境の衛生管理を目的とする製品であり、日々の清掃や換気と組み合わせて使用することを想定しています。
本機はコードレスで浴室以外にも、リビング・寝室など場所を選ばずオゾンを発生させることが可能です。
また、NTMに対するオゾンガスの研究成果は、生活環境中のNTMへの対策を検討するうえで重要な基礎的知見となります。
ただし、研究で使用されたオゾン濃度や曝露時間と、バスピースO3の実使用条件は同一ではありません。
そのため、研究結果のみを根拠として、バスピースO3が実際の浴室でNTMを一定割合減少させる、あるいはNTMの繁殖を抑制すると断定することはできません。
今後も、実際の使用環境に即した評価と科学的根拠の蓄積が重要だと考えています。
ここで、明確にお伝えしたいことがあります。
バスピースO3は、肺NTM症の予防や治療を目的とした医療機器ではありません。
また、バスピースO3を使用することによって、肺NTM症の発症や再発を防止できるという臨床的な効果が確認されているわけではありません。
NTMは水や土壌などの自然環境に広く存在しており、生活環境から完全に取り除くことは困難です。
私たちが目指しているのは、肺NTM症への不安を過度にあおることではなく、研究で得られた知見を正しく伝えながら、家庭の浴室環境をより衛生的に保つための選択肢を提供することです。
肺NTM症については、感染経路、発症に関係する要因、治療方法など、現在も国内外で研究が進められています。
オゾンによる環境衛生管理についても、実験室での殺菌作用と、実際の家庭環境における効果を丁寧に区別しながら、科学的な検証を積み重ねていく必要があります。
株式会社タムラテコは、研究成果を尊重し、技術の可能性と限界の両方を正確に伝えることを大切にしています。
バスピースO3は、そうした考え方のもとで開発された、家庭の浴室環境に向けたオゾン機器です。
医療による診断・治療と、日常生活における環境衛生管理。
それぞれの役割を正しく理解することが、安心して暮らせる生活環境づくりにつながると考えています。
株式会社タムラテコ
日本化学療法学会公式サイト/学会抄録集の印刷ページ506
正式な文献情報は次のとおり。
演題名: 非結核性抗酸菌に対するオゾンガスの殺菌効果
著者: 三澤可奈、西村知泰、長谷川直樹
所属: 慶應義塾大学医学部感染症学ほか
掲載誌: 日本化学療法学会雑誌 2023年、71巻4号、506ページ
演題番号: 310(O-310)
実際の抄録には、1.0ppmのオゾンガスを使用し、対象とした5菌種すべてで対照群より生菌数が有意に減少したことが記載されています。
※本記事は、公開されている医学・学術情報をもとに、肺NTM症と生活環境中の非結核性抗酸菌に関する知見を紹介するものです。特定の製品による疾病の予防・治療効果を示すものではありません。オゾン機器は製品の取扱説明書に従い、安全に配慮して使用してください。